勉強の効用 その3

 唐突ではあるが、本日の結論を言おう。

 

 勉強は、世の中の仕組みを知り、理解するために必要である。

 

 そもそも人間が誕生するよりもはるか昔から地球があり、自然があり、植物や動物たちがいたことを否定する中高生はいないだろう。私たち人間を取り巻く環境が、どのような規則で成立して、どのような構造をもっているのかを知るために学問は発達していったと言っても過言ではあるまい。

  

 一例をあげれば、古代の人々は安定した農耕・牧畜を営むために、すなわち自分たちが安定的に生活できるように役に立つ知識を得ようとした。季節が分かれば種をまく時期や収穫の適切な時期を知ることができる。星の動きと季節の巡りが連動していることを経験則から知った(であろう)古代の人々は、さらなる生活知を得るために、天文学を発展させたわけである。星の運行を時間と速さによって計算する必要から数学が連動して発展していったとも言える。

 

 季節や天候を事前に知ることができるようになった我々は、すっかりその恩恵を忘れてしまった。もはや当たり前とさえ思えるけれども、人間を取り巻く気象現象、今の季節で言えば、特に台風の予報進路などを事前に知っている場合とまったく情報がない場合では、想定される被害状況はまったく異なるものとなろう。

 

 ほぼ正確な予測や予報を成り立たせている情報を得るために、つまりは我々が安全・安心に生活していけるために、物理やら数学やらが、日々、人知れず役にたっている。


 中高生諸君が、日常的に没頭しているスマホひとつとってみても、扱っているアプリや閲覧しているホームページなどはコンピューター言語によって書かれたものだ。多くのコンピューター言語は英語表記になっていて、英語アレルギーの生徒にとっては、無意味な英単語の羅列にしか見えないことだろう。しかし、その言語がどのようなルールに基づいて書かれているのかという文法を知ることによって、読みこなし、書きこなすことができるようになる。中学生男子がハマっているスマホゲームの類も同じである。


 

 つまり、世の中の仕組みやルール、普段は隠されている規則性などを「見える」ようにしていくのが勉強なのだと言える。

 

  私も含めて、今現在生きているすべての人間は、生まれた時にはすでに人間社会が形成されていて、社会に適用されるルールのもとで社会生活を生きていかねばならない。生徒たちも、やがて社会へ出て、自分一人の力で生計を立てて生きていかねばならない。その時、自分がどんな能力(武器)を持っていて、どのように戦えるのか、戦うフィールドはどのようなルールになっていて、どのように戦っていくことが有益なのかを事前に学習して知っておくことは、生き残る上で非常に大切な戦略である。

 

 したがって、勉強の効用とは、世の中の仕組みを知るための方法論と言うことができるのである。

 つまりは、生きていくために必要なのだよ。

 

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